Hermes Agentを使いこなすのは、チャットボットを使いこなすのとは別の競技です。チャットボットとのセッションは一回きりの取引ですが、Hermesのデプロイは関係の構築です。難しいタスクを終えるとスキルを自分で書き、覚える価値のあることをすべて覚え、あなたという人物像を組み立てていく。つまり、最初の数週間にどう使うかが、最終的にどれだけ賢くなるかを決めるのです。私たちはPlusAgentsでHermesエージェントを24時間運用しています。これはその現場からのガイドです。どう始め、何を任せ、どう学習ループを複利で効かせるか。プロジェクト自体が初めての方は、Hermes Agentとはの解説記事で背景をつかんでください。
ステップ0:動かす(そして動かし続ける)
何よりも先に体に入れておきたいのはこれです。Hermesはサーバー上で24時間365日動かす前提で設計されています。メモリもスキルもスケジュールジョブも、会話と会話の間にエージェントが実際に生きていてこそ、複利で積み上がります。毎晩スリープするノートPCは、Hermesが唯一好まない住まいです。選択肢は次のとおり。
- PlusAgentsでワンクリック。 常時稼働のプライベートなHermesインスタンスを、LLMクレジット込みでデプロイします。無料で始められて、1分ほどで稼働します。
- セルフホスト。 LinuxマシンでもMacでもWSL2でも、curlコマンド1行で完了。5ドルのVPSで快適に動くことで有名です。詳しい手順はHermesのデプロイガイドにまとめています。
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
hermes setup # connect a model provider
hermes # start chatting最初の会話:きちんと自己紹介する
最初のセッションはユーザーモデルの土台になります。「何か面白いこと言って」で浪費してはいけません。新しく入ったメンバーへの引き継ぎのつもりで、10分かけてきちんとブリーフィングしましょう。
- 自分が何者で、何をしていて、いまどんなプロジェクトを抱えているか。
- 好みのアウトプット。簡潔か詳細か、箇条書きか文章か、単刀直入か外交的か。
- あなたの環境と世界。使っているツール、よく名前が出る人たち、住んでいるタイムゾーン。
- 何を任せるつもりか。どこに注意を向けるべきか、エージェントに分かるように。
ソフトウェア相手だと妙な気分になるかもしれません。それでもやってください。Hermesは学んだことを永続化し、重要な文脈を保存するよう自分に促し、あとで自分の履歴を検索します。いまブリーフィングに使う1分が、この先の「説明のし直し」の10分を永久に節約してくれます。終わったら、最初の本物のタスクを渡しましょう。ストリーミングされるツール出力を眺められるので、できればターミナルから。ややこしい調べもの、リポジトリの要約、ドキュメントの下書きあたりが好適です。

1週目:スキルライブラリを意図的に育てる
パワーユーザーと観光客を分ける発想の転換はこれです。Hermesにとって、難しいタスクは投資。エージェントが複雑な仕事(厄介なデータクリーニング、複数ステップのデプロイ、あなた専用の情報源を使うリサーチのワークフロー)をやり遂げると、その「やり方」をスキルドキュメントとして自分で書き残します。次回は手順を再発見するのではなく、実行するだけです。
だから1週目は、あなたの仕事の「繰り返しの型」を意図的に食べさせましょう。
- 毎週やっているタスクを3つ選び、それぞれ一度ずつ任せて、根気よく修正します。
- うまくできたら、はっきりそう伝えます。結果へのフィードバックが、書き残されるスキルを研ぎ澄まします。
- ときどき「持っているスキルを見せて」と頼みます。ライブラリは読めるし、剪定も改良もできます。agentskills.io標準に準拠しているので、コミュニティのスキルを取り込むことも可能です。
3週目、かつて苦痛だったタスクを、エージェントが自作のスキルを使って一発でこなす様子を見たとき。多くの人が信者になるのは、その瞬間です。
メモリ:信頼して、検索して、剪定する
Hermesは設計からしてセッションをまたいで記憶します。エージェント自身が管理するメモリに加えて、過去のすべての会話への全文検索。実際の使い方としては、「完璧な記憶力を持つ同僚」に話すように話してください。「6月に料金ページについて何を決めたっけ?」「先月のレポートと同じ形式で」は、ごく普通のリクエストです。間違った印象を保存してしまったら(たまにあります)、そのまま指摘すればOK。メモリは編集可能で、早めの修正がユーザーモデルを清潔に保ちます。
スケジュールする:複利が最もよく見える場所
内蔵のcronスケジューラーは、常時稼働エージェントが給料分を稼ぐ場所です。普通の言葉で頼むだけ。
- 「平日の朝7時に、Telegramでブリーフィングを送って。カレンダー、受信トレイのハイライト、フォロー中のトピックの新着をまとめて」
- 「毎週金曜の16時に、今週取り組んだことをもとに週次報告の下書きを作って」
- 「毎晩2時にプロジェクトフォルダをバックアップして、失敗したときだけ知らせて」
Pantheonリリース(v0.21.0)以降、スケジュールジョブは実行と実行の間で記憶と連続性を持つようになりました。あなたの金曜レポート係は、金曜レポートの書き方そのものがうまくなっていきます。届け先は、接続済みのどのプラットフォームでも選べます。
大きな仕事の任せ方:サブエージェント
1つの会話に収まらない仕事のために、Hermesは独立したサブエージェントを立ち上げます。それぞれが自分の会話とターミナルを持ち、並行して動きます。「この5社の競合を1社ずつ別の担当で調べて、結果を1つの比較にまとめて」が、リクエスト1つで済むのです。パワーユーザーはさらに進んで、Hermes自身のツールをRPC経由で呼ぶPythonスクリプトを書かせ、10ステップのパイプラインを繰り返し使えるコマンド1つに畳み込みます。1週目には必要ありませんが、天井がこれだけ高いと知っておいて損はないでしょう。
あなたの居場所に住まわせる:ゲートウェイ
Telegram、Discord、Slack、WhatsApp、Signalを接続すれば(ゲートウェイプロセス1つで全部まかなえます)、エージェントは会話の途中でもプラットフォームをまたいで付いてきます。昼休みにTelegramで始めたスレッドを、デスクに戻ってターミナルで続ける。ボイスメモも文字起こししてくれるので、手がふさがっていても指示を出せます。PlusAgentsのデプロイならゲートウェイは最初から稼働済み。チャットアプリの接続は、ダッシュボードのガイド付きフローで完了します。

現実的な4週間プラン
- 1週目: ブリーフィングをして、チャットアプリを1つ接続し、繰り返しのタスクを3つ、修正を加えながら任せます。
- 2週目: 朝のブリーフィングと週次レポートを1本スケジュール。スキルライブラリを一度レビューします。
- 3週目: 本当に難しい複数ステップの仕事を渡します。スキルが書かれるのを見届けましょう。
- 4週目: 文脈の説明をしなくなっている自分に気づきます。それが、ループが閉じた合図です。
「そこまでの付き合いは重いかも」と感じるなら、即効性で勝るOpenClawのほうが肌に合うかもしれません。正直な比較記事が判断の助けになるはずです。ただ、「2か月目のアシスタントが1週目より目に見えて優秀になっている」という体験に心が動くなら、Hermesの代わりはどこにもありません。
Hermesの黄金律: 任せる難しいタスクは、すべて出費ではなく預金です。24時間365日動かし続け(その部分は私たちが引き受けます)、繰り返しの仕事を早めに食べさせ、根気よく修正する。2か月後には、どんなプロンプトの工夫でもゼロからは再現できないアシスタントが手元にいるはずです。